49: 髭生やしたんだね。似合うよ

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 好きだった白金台の喫茶店のマスターは僕のことを覚えている風に接してくれたけれど、その褒め言葉ひとつで雲行きが悪くなった。チェックインの数34回目とのことだった。好きだったチャーハンの味は変わらなかったし、何十話ぶりなのかわからない黒子のバスケも読めた。理由があって前職の人達はここに訪れることが滅多に無いので白金台なのに隔離されたような空間だった。エコバッグのロゴの面はずっと体に触れていた。

取引先の人を偽名で呼ぶの難易度高かった

 取引先の人と飲むという何とも会社っぽいイベントに出て来た。とても僕たちに良くしてくれているのはCEOであるところのKeiに届くメールが見えている僕にもよくわかっていた。お互いを空想上の人物のまま半年近くを過ごしていたので遂にという雰囲気もまた面白かった。メールの上での敏腕そうな営業さんらしい姿は40歳前後を僕に映していたが、実物は僕よりも生まれが1ヶ月後ろだった。乙女座か天秤座かという話をした。

 その後何件かの店を梯子をすることとなるのだが、最初にKeiが投げたメールは「軽く二時間くらい」だったはずなので、あるところでKeiは僕が責任を持って帰したのでそこまでは仕事をした気になっている。そこからは半分くらい記憶がなくて、どこに行ったのかをカードの明細にある加盟店欄で知るのであった。トイレに何度も逃げ込んでは帰国してからアルコールに弱くなったことを認識させられていた。酔わずに愉しみたいお店には酔わないとまず行かないし、酔うと愉しめないというのは健全なデッドロックであると知ったが、彼とはまた二人で飲みに出かけるのだろうと寝起きに引きづるつもりのなかった気持ち悪さを越えるくらいには良い人と出会えたように思えた。

 文を書いているうちにビルドが終わらなくなってきた部分もあるので、CIなり並行化なりすることにした。