63: 四捨五入して話す

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 3週間程度、前の会社に春から入社するという青年がやってきて一緒に暮らしていた。彼は僕とAdamの会話する様を見てかなり話せていると認識したらしい。言語について上達したわけではなくAdamとのコミュニケーションについて自然になってきたというだけだろうが、彼が頑張って言葉を振り絞っている様を見て少し手前のスタート地点に立った時の自分の姿が見えた。彼は聡明だし、アメリカに来て一人でうろちょろしている元気もあったので早々に追い抜かされることだろうと思ったところで、帰国してしまった。いじり甲斐があったので残念でもある。

 ということで、特に英語がうまくなったりはしていない。家主のAdamが話す言葉の理解度が20%くらいだったのが40%になったという体感があるくらい(前に書いた記事を見たら4割こぼすとか書いていてぶん殴りに行きたい)で、相変わらず同居人達と観る字幕の無い動画の聞き取りは全くと言って良い程に頭に入って来ない。端っこの単語と映像から情報を推測していて何となく合わせるように笑い声を上げるスキルだけが身に付いている。聲の形も似たような話かと思って読んだら違う理由で自分に重なって怖いものがあったというのは別の話。

聲の形(1) (少年マガジンコミックス)

聲の形(1) (少年マガジンコミックス)

 割と機微というかアナログ値が好きな面があって、何か好みを説明する時に好きと嫌いの両極端よりも、その中で絶妙で自身にしっくり来る位置を選んで表現することを選んでいるが、表現する為の言葉を十分に持ち得ない言語ではそれをどちらかに振る事を強要されることがあって辛くもあり面白くもある。英語だと手持ちが bad, not good, not bad, good くらいの4段階くらいがせいぜいで、その枠に絞られるとああこれは実はこう思っていたんだなということが多い。ちなみに今この家で流行っているのは maybe が全然"多分"じゃないこと。70%弱くらいというつもりで言っていたらせいぜい15%だと言われてびっくりした。"出来たらやる"レベルのタスクの温度感だった。