74: かかるコストと達成すること
IndiegogoでBackしていたFlicが届いた。生活の中では割と役に立っていて、割とアイデアに反応しただけで実際にはそんなに欲しくなかったという状況になりがちなクラウドファンディングのものでちゃんと届いてちゃんと使い続けられそうなものは珍しい。
設定するためのモバイル向けのアプリケーションもまともで、デバイスとの同期もBluetoothとはいえ、一瞬で出来てしまい、ソフトウェア側もかなり頑張ったのがわかり、使いはじめる時点で割と満足していた(ファームウェアのアップデートがちょっと不安定だったが、fitbitのそれに比べればマシだった)。
今はバックパックのショルダー部分に二つ。スマートフォン上のGoogle Play Musicを操作(再生のトグル、前の曲、次の曲)、Swarmのチェックイン画面の起動、カメラの起動に使っている。あと二つは自室の入り口とローテーブルに部屋の電灯のスイッチとして設置していて、見事に全て継続的に活用出来ている。
関係ないが、Flicを受け取って開封しているステーィブウォズニアックとそれを喜んでいそうなチームがとても素敵だと、プロダクトが発送されるちょっと前くらいに感じたが、クラウドファンディングでバックしていた僕達よりも先に受け取っても仕方がないなという人物もなかなか居ないと思った。
その消費するリソースは実現項目に対して妥当であるか
ただ、部屋の明かりのためだけに、FlicからBluetoothで自分のAndroidに渡り、そこからインターネットを介してiftttにHTTPリクエストが送られ、iftttからWeMoを通して僕の部屋のコンセントのON/OFFが為されるのには罪悪感のようなものがある。この経路上でいくつのコンピュータが稼働しているのだろう、僕の部屋のライトが点くかどうかというだけで。何歩か踏み出してスイッチをトグルすればいいだけではないのか。飛行機の機内から人工衛星を介して地上のインターネットと繋がってまで、人はTwitterをやる必要があるのだろうかと思ったことにも似たものを感じる。トイレを流れる水もあんなに浄水されて透明である必要は無いのにと昔の誰かは罪悪感を持ったのだろうか。
部屋の電球を点けたり消したりするために、Flic -> Android -> iFTTT -> WeMo -> 電源 の経路でリクエストが伝わっていくの無駄遣いしている気分にしかならない...
— Kengo Hamasaki (@hmsk) 2015年12月25日
少なくともFlicが電灯と直接繋がる、しかもそれが面倒でない形でというのを内心期待したいのだろう。桶屋は儲からない。
歳を取ったせいなのかわからないが、何かを実現するためにわざわざまどろっこしいことや、その後のメンテナンスが大変なこと、スケールしないこと、ストラクチャーが美しくないことに、すすんで手を付けられなくなっている実感がある。それが叶わなければ重い腰をあげるのも難しい。
再生した音楽の履歴が共有できるようにしようという際にどこにデータストアを持って、どういう形で保存して、どのAPIを組み合わせれば綺麗になるか、どのように表示するか、それを実現する実装を考え始めたのを横目に、Twitterとiftttのアカウントを作りLast.fmと繋いで流して、このアカウントで見れるようにしたからとものの数分で提示された時に思い知った。
Twitterやiftttではアカウントが複数あり、それを切り替えることが前提になっていないので美しくない(というよりもサービス提供者的には期待していない)と引っかかる前にまず体験を試すというのを忘れ気味だったので眼から鱗であった。そういえばここ数年しばらくMVPに取り組んだ覚えがない。カード決済をするのなら、決済サービスを導入せずに、まずはカード番号をメールして貰ってそれを代わりに打ち込めばいいのだ(ダメ)。