60: 車、飛行機、バス、電車、船を乗り継いだ
愛媛の父の実家を訪れた。最後に行ったのは祖母の葬儀、それも中学校1年生だったので14年ぶりということになる。サバティカルというものが自分にあったら1度は行こうくらいに思って一生行かないコースじゃないかと罰当たりと言われるようなことが過ることも何度かあったが、叔父と会った際にその場で電話をして訪問を約束させられたおかげだ。その叔父とは飲む為に土曜の渋谷のハチ公前で待ち合わせをする時が来ようとは父の実家で遊んでもらって居たときの僕には教えてあげたい。ヒカリエっていうのが建ったよ。
東京からサンフランシスコに行くのと変わらないくらいの時間をかける必要がある場所に1泊だけの墓参りの旅に軽くお金が払えて、訪れた景色のサイズがとても小さく見えるようになっていて、叔父と向かい合ってビールを飲んで、まさに大人になりましたという気分をまざまざと味わった。海の街だというのに、子どもの頃は刺身が食べられなくて、何が食べたいかと僕に尋ねた祖父にカレーと返してから嫌われたままなのは残念ながら間に合わなかった。
子どもの頃1度だって起きずに行かなかった夜明けの漁に出られたのが一番良かった。
だいたい海の幸とビールで24時間近くを過ごしている中で、叔父が携帯電話でSMSを送っていたりするようになっているのには驚いた(前に会った時は携帯電話も持っていなかった)が、やはり自分の仕事の具体的な説明は難しく、クレジットカード決済でAPIがヤバいというわけにもいかず、スマートフォンを見せて「こういう中に入ってるソフト作ってるんやで」と濁した。きっとまた10年くらい経ったらタッチパネルで何かを操作している叔父に会うのだろう。そう思っていた横では映画ソーシャルネットワークの地上波放映のコマーシャルが繰り返し流れていた。